【株式会社山元様】レガシーシステムの高度なマイグレーションを実現

  • 開発実績

株式会社山元

URL: https://www.yamagen.co.jp/

イベント会場をはじめ多くの商業施設等、様々な分野でレンタル什器サービスを提供する株式会社山元様。
事業を支える基幹システムにおいて「保守サポート期限切れに伴うソフトウェア、ハードウェアのバージョンアップ対応」と「バージョンアップ後のシステムの継続稼働」が課題となっていた。
その課題を早急に解決すべく、アイセルに開発依頼をされた。

これにより、システムのバージョンアップ(マイグレーション)をどのようにして実現したのか?
現場はシステムを普段どおり使えるようになったのか?

このプロジェクトに携わっていただいた、同社で経営企画部において基幹システムの管理と社内サポートを担当されているお二人にお話しを伺った。
経営企画部 システム管理室 礒部様 / 経営企画部 松橋様

開発概要 基幹システムのコンバート
開発期間 16か月
要素技術 .NET Framework, SQL Server

什器レンタル事業に必要不可欠な止めない基幹システム

同社は什器レンタルを事業としており、日本の百貨店などに什器のレンタルサービスという形態を定着させた業界の最大手である。
商業施設・文化施設の企画演出、店舗の設計施工からオリジナル什器のデザイン、製作・販売までの総合サービスを、トータルにプロデュースしている。
同社のお客様が運営されている様々な店舗には、商品を陳列、展示するため、ラックやケースなどの什器が使われている。「ニーズに応える豊富さと速さを強みにしており、什器のラインナップ、ストックは業界随一と自負しています。」(松橋様)

店舗の営業や催事は、時間との勝負である。同社は全国に配置した拠点のネットワークで、徹底した在庫管理と配送手配を行い、日本全国、適正な時間に什器をお届けする体制を支えているのが、同社が約20年前から構築した“基幹システム”である。

レンタルサービスを展開するためには、基幹システムが生命線である。基幹システムを稼働しつつ“ソフトウェア、ハードウェアの老朽化”と“保守サポート期限の対応”について解決する必要があった。
基幹システムは、受注業務と在庫管理を同じシステム内で行っている。各業務システムは連動しており、基幹システム全体のリプレース、サーバー構築、およびデータコンバートが必要である。しかし、当初の開発ベンダーが撤退してしまい依頼ができず、新しいサーバーOSでは今のシステムが動かなくなるため、ユーザーインターフェースは極力変更しない状況下で同社は本プロジェクトを検討することになった。

なぜアイセルを選んだのか?

サーバーのハードウェアを新しく切り替えると、新しいOSになるので今のシステムが動かない。違う仕組みにするか、アップデートするかしか選択肢がなかった。
ビジネスマッチングをきっかけに、同社にはコンペ形式でアイセルを含めて複数のシステム開発会社から提案があった。

提案の改善、課題に対するポイントは、Windows 2000 Serverで動いている旧システムを自社でどれだけ理解できるか。“元通り動かないのが一番怖い。既存の機能をできるだけそのまま移行したい。”である。
フルスクラッチで進める場合は、体制、要件を決めるのに調整と時間が必要であり、既存の分析を含めて今あるものを捨てる選択肢になる。既存の仕組み・プログラムを移行するのが難しいため、一からスクラッチで開発する提案が多かった。中には提案ができない、既存の仕組みを移行できないという開発会社もあったという。基幹システムをWindows 2019 Serverに移行するにあたり、アイセル以外は“フルスクラッチの提案”または“システムリプレースとデータコンバートに対応できない”という回答だった。

アイセルにはVisual Studioの開発、データコンバートの実績があった。アイセルは今までの知見を活かして、既存システムをそのまま新環境へ移行するストレートコンバージョンによるマイグレーションを提案した。プログラムには原則手を加えずに、新しい環境でコンパイルし直すことで、同社の基幹システムを継続して利用できるようにする提案内容である。

「アイセルさんは、フィットする提案で他社とはアプローチが違っていた。システム管理室としても、フルスクラッチはリスクが高く、リソースも限られている。元々のプログラムを移行する考え方とアイセルさんの提案が合致しました。」(礒部様)

「経営層が見ても分かりやすくて丁寧な提案資料と説明でした。根拠を具体的に示していただいたのでアイセルさんに依頼しました。」(松橋様)

アイセルの経験と工夫、目に見えにくい成果

株式会社アイセル
開発事業本部
システムソリューション部
鈴木、松崎

提案の内容から大きな期待が寄せられた上でプロジェクトが始まった。
レンタル事業全般に言えるが、在庫管理が特殊で一般的な在庫管理システムでは通用しない。レンタルバックを考慮する必要がある。一般的な在庫管理、生産管理とは大きな違いがある。
アイセルには、レンタル業務の理解、知見があったため、特殊な業務形態を吸収しやすい環境があった。
「アイセルさんは、基幹システムそのものの特殊性も理解していただいた。」(礒部様、松橋様)

同社のような大きなシステムのコンバートの経験まではないが、他社のプロジェクトで数多くシステムのコンバートを経験していたため、提案段階から勘所を把握していた。
しかし、同社は24時間365日の仕組み・運用だった。百貨店閉店後の夜間や休日でもシステムの利用があるため、社内のシステム利用者が1日でも止まることを前提としたシステム、業務フローではないため、まとまった時間でシステムを止めることができなかった。
「業務への影響を最小限にするために、分割して本番環境へ移行する方法を考案し、10時間×2回で移行できるように工夫した。」(松崎)
「その他にも、WebブラウザーはInternet Explorerのみ対応だったが、Microsoft Edgeに変更した。その影響で動かない機能があったが、画面の使用感をできるだけ変えないことを優先し山元様と相談しながら修正した。」(鈴木)
「一般的な標準環境に対応することができた。今までは特殊環境で使っていたこともありご苦労をかけたところだと思う。」(礒部様)

導入効果

「機能が変わらないことが最大の評価である。仕様の違いによる不可避な変更点もあったが、現実的な解を提示してもらった。使用感は今までと変わらないことがゴールでアイセルさんの提案通りになった。」(礒部様)

「Internet Explorerで動かし続けないといけない不安から開放された。特殊環境でなくても稼働できるシステムになり運用負荷が大きく減った。」という目に見えない効果があった。
その他、同社で社内アンケートを取ったところ、「いくつか機能の改修をしてもらっているので、ユーザービリティーが向上した。見た目の変化はほぼないが、便利になった点が多かった。」という。

アイセルは20社以上のマイグレーション実績があり、マイクロソフトプラットフォームの経験が豊富である。
「お客様に何も変わらないと言ってもらえたことが一番嬉しい言葉です。業務上できていたことができなくなったというのは失敗だと思いますので。」(松崎)
マイグレーションは目立たなく、サポートが終了するからというネガティブな印象がある。しかし、マイグレーションすることでサポートしやすくなる。機能を追加したわけではないが安心して利用いただける。
OSを移行したことでプログラム改修がしやすくなった。機能追加・改修が行えるようになったところが大きな違いと進歩である。
「マイグレーション、コンバートは、新しい仕組みを作るより難しい面もある。ユーザーは既存システムに慣れているので、変えない難しさもあると思う。」(礒部様)

今回の事例紹介では、一般的なシステムとは異なり、ストレートコンバージョンによるマイグレーションでした。既存の基幹システムのプログラムを活かす形で進めたため、見た目は変わりませんが、長期間でサポートできる安定したシステムになりました。

今後の展望

「機能追加と改修ができるようになったのでやっていきたい。今回のコンバートにより、法規制に対応するところに関しても手を加えられたので、今後は機能改修や社会情勢に応じた仕組みに対応していきたい。」(礒部様)
「アイセルが選定した技術は、.NET Frameworkを含めてサポート期間が長いものである。基幹システムを今の状態で長く使い続けるのは可能だと思うので、情報の見える化やデータ分析などの活用ができればと考えている。」(松崎)

このように、アイセルでは「現在のレガシーシステムを継続活用できるマイグレーション」についても、的確なコミュニケーション能力とマイクロソフトプラットフォームの開発経験を活かし、確実に実現しました。
2025年の崖が迫ってきましたが、引き続き、様々なお客様の期待に応えてまいります。迅速かつ丁寧なアイセルのシステムマイグレーションとシステムリプレース対応にどうぞご期待ください!